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絵本読んで!

絵本:たいせつなこと

img136「たいせつなこと」
作:マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵:レナード・ワイスガード
訳:うちだ ややこ
出版社:フレーベル館

4、5歳のお友だちと一緒に、たいせつなことを考えました。

ずっと前から、年度の最後に読もうと決めていた絵本です。
マーガレット・ワイズ・ブラウンさんの美しい詩のような文章で綴られる、たいせつなことのお話です。
身の回りにあるものや自然、様々な現象について、そのものが持つ姿や動きが優しい言葉で語られて行きます。
その語り口によって一つひとつが身近に感じられて、また、描かれているシンプルな絵も相まって、イメージが広がっていきます。
そして、それぞれの「たいせつなこと」について短い一言で締めくくります。
例えば、雨にとって大切なのは「うるおす」ということ。
1ページに1つ、そういった「たいせつなこと」が語られています。

さて、4、5歳の子どもたち。
この絵本は、詩のような美しい文章が、聞き手のイメージを引き出すようになっていますので、読み方もゆっくりと、かみしめながら読んでいきます。
子どもたちはお話を静かに聞きながら、どんどんイメージを広げている様子です。
一つひとつについて「たいせつなこと」を聞きながら「そうか、なるほど」と思う子もいれば「ほかにもあるよ」と思う子もいるようでした。

この美しい詩の中で、マーガレットさんの意図したことは何でしょうか。
私の想像ですが、それは子どもたちがあらゆることについて見る目を持ち、自由に思いを巡らせ、その中からその子が「たいせつなこと」を自分で見つけること。それが「たいせつなこと」なのだと言うこと。そうではないだろうか思うのです。
ですから、詩の中に出てくる様々なものについての「たいせつなこと」が聞き手によって違和感があってもよいのです。
その時はまた、自分にとって「たいせつなこと」を見つければいいのですから。

読み終えて、子どもたちから色々な言葉が出てきました。
「園長先生ってどんなん?大切なことは何やろう?」
と聞くと、
「めがねをかけてること!」「こっそり見てくれてる」「絵本読んでくれる」と、私のイメージを口々に教えてくれました。

『園長先生は、いつもめがねをかけていて、そのおめめでキョロキョロみんなを見ていて、お部屋に来ると絵本を読んでくれる。
でも、園長先生にとってたいせつなのは??』
「ほいくえんにおることや」
だって(^^)

「じゃあ、おかあさんにとって大切なことは何やろう?」と聞くと。
「美味しいご飯作ってくれる!」「病気になったら一緒にいてくれる!」「がんばって働いとう!」「こら!ゆーて怒るけど優しい!」「ぎゅってしてくれる!」
子どもたちの口から、言葉が止まりませんでした。

絵本読んで!

絵本:ぼくのさんりんしゃ

img105「ぼくのさんりんしゃ」
作:津田 櫓冬
出版社:福音館書店

ゆり組のお友だちと一緒に、大事なさんりんしゃに乗っていきました。

大きくなったぼくが、もう乗らなくなった「さんりんしゃ」を捨てに行くところからはじまるお話。
雨に濡れどこかさびしげなさんりんしゃが気になって、様子を見に行くと色々な動物がこの捨てられたさんりんしゃを欲しがります。
それをことごとく「乗らないほうがいい」と助言するぼく。
何度も何度も断って誰も乗せないようにします。
だけど、とうとう「ごみしゅうしゅうしゃ」がやってきてさんりんしゃを持って行こうとしますが、、、

「だって、これ、、、ぼくのさんりんしゃだもん」
そんな気持ちがにじみ出てくるぼくの言い訳。
子どもっぽい中にも必死さが伝わってきて、後ろ髪を引かれるような思いに共感してしまいます。
捨てなきゃ、でも捨てられない。
その理由はきっと、たくさんの思い出がそのさんりんしゃに詰まっているからなのでしょうね。

ゆり組のお友達。
お話を最後までだまーって聞いて、お話に集中していました。
ぼくの可笑しな言い訳をときおり笑って聞いていましたが、さんりんしゃが持って行かれそうになると真剣な眼差しでどうなるのだろう?と大注目。
結局、ぼくはさんりんしゃを持って帰ることに決めると、ハァ~っと安堵のため息がもれていました。
お話のあと、自分たちの持っている大事な三輪車や自転車のお話でひとしきり盛り上がり、宝物への思いを強くしているようでした。

大切にしているものを捨てるとき、なかなか気持ちの整理がつかないことってあります。
子どもたちだって同じように感じています。
ガラクタをいつまでも宝物にしているのもそうでしょう。
大人には分からない、子どもだけが感じている宝物の良さ大切さ。
それを捨てるときはちゃんと納得してから捨てることも子どもにとって大切な儀式なのでしょう。

絵本読んで!

絵本:じごくのそうべえ

「じごくのそうべえ」
作:たじま ゆきひこ
上方落語 地獄八景より
出版社:童心社

ゆり組のお友だちと一緒に、とざい~とうざい~。

落語の地獄八景が元になった絵本です。
じごくに落ちたそうべえと仲間たちが地獄でてんやわんやの大騒動。
恐ろしい地獄の描写と登場人物の痛快な活躍が合わさって、思わず笑ってしまうなんともいえない面白い絵本です。
元が落語だけあって笑いがちりばめられているのがとても愉快です。
私も読み聞かせのときはとても気合が入る、大好きな絵本の一つです。

もちろん、ゆり組のお友達も笑いが止まりませんでした。
じごくを巡るそうべえたちの突拍子も無いアイディアにニッコリ。
「じんどんき」と言う怪物も、面白おかしくやっつけてしまうそうべえたちに子どもたちも大笑い。
しまいには、熱湯じごくも、針の山もそうべえたちには効きません。
かるわざし(軽業師)やじょうはりのかがみ(浄玻璃の鏡)など、聞き慣れない言葉もたくさん出てきますが、絵本の中でちゃんとそれらが描かれているので子どもたちにも理解できたようです。
不思議な笑いをとりながら、活躍する主人公に子どもたちも夢中になっている様子でした。

最後の最後。
ちゃんと「落ち」が用意されているのも落語らしくて面白く、子どもたちもその落ちを理解していました。
どんな落ちか?
是非、絵本を読んでみてください。

絵本読んで!

絵本:三びきのこぶた

「三びきのこぶた」
イギリスの昔話
訳:瀬田 貞二
絵:山田 三郎

ゆり組のお友達と一緒に、ふぅふぅのふっ!

絵本のおはなしの定番。三びきのこぶたです。
おそらく、私たちの知っている三びきのこぶたのおはなしの原点はこの絵本にあると思います。
わらの家、木の家、レンガの家。
作物を採りに誘うオオカミと、賢いこぶたの知恵比べ。
タルに入って転がって逃げ出すこぶた。
煙突から落っこちて、スープになってしまうオオカミ。
比較的長いお話ですが、端的にまとめられ、挿絵風に絵が入っているのでストーリーにそって理解を進めていくうえでも分かりやすくなっています。

さて、ゆり組のお友だち。
わら、木、レンガの家は知っている子も多かったけれど、後の話を知らない子も居て、新しい発見もあったようです。
あわや、オオカミに出くわしたこぶた。機転をきかせて逃げ出すシーンにハラハラしながら思わず「あーよかった」と声が出ます。
オオカミとこぶたの知恵比べを楽しんでいるようでした。
こぶたが幸せに暮らす姿を子どもたちはイメージできたでしょうか。

オオカミを食べてしまったり、殺してしまうことに対して残酷だと感じられるかもしれませんが、私は命を守ること、命をつなぐことの本質的な残虐性を否定はできません。
生き物である以上、食べていかねばならないし、食べられることもまたあるのです。
安心して暮らせることもまた、そういったものの上で成り立っている、大切なことなのです。
空想の物語でありながらも、リアルに生きる世界を感じるようなお話なのかもしれませんね。

絵本読んで!

絵本:はじめてのおつかい

「はじめてのおつかい」
作:筒井 頼子
絵:林 明子
出版社:福音館書店

ゆり組のお友達と一緒に、ぎゅうにゅうくださあい!

筒井頼子さん林明子さんのコンビが贈るとても素敵な絵本です。
お二人の作品は他にもたくさんありますが、その中でも私はこの絵本が一番のお気に入りです。
筒井さんのとても自然で飾らない言葉。林さんの丁寧で主人公を大切にする作画。
子どもたちも作品の空気に触れて、日常の中で感じるドキドキしたりホッとしたりする気持ちを感じるのでしょう。

おかあさんにおつかいを頼まれたみいちゃん。5才です。
ゆり組のお友達も「自分たちと一緒」という気持ちで聞いていました。
ぎゅうにゅうを買いに出かけますが、その道中に起こる出来事に、子どもの心のうちを描きながらお話は進んでいきます。
この絵本がすばらしいと思うのは、主人公のみいちゃんの心を自然な言葉で表現しているところです。
ちょっぴり不安な気持ち、怖い気持ち、ドキドキする気持ち、あせる気持ち、ホッとして心が解ける気持ち。
様々な気持ちが、本当に自然に感じられる表現で書かれています。

「お金をしっかりとにぎりしめる」ことはやる気とドキドキの入り混じった気持ち。
ころんで落とした大事なお金を探すみいちゃんの心はどうだったでしょう。
ころんだ痛さで泣いてしまったら、自分のやる気と頑張りも失ってしまう。だから、必死に心で耐えながら落し物を探したのでしょう。

小さな声で言う「ぎゅうにゅうください」も、心の中のドキドキがあふれています。
やっとのことでぎゅうにゅうを買えた思いがこもったひとつぶのなみだ。
緊張感が解ける瞬間です。
気がつくと、手のなかで温かくなるほどお金をにぎりしめていたみいちゃんは、どれほどドキドキ緊張していたのでしょう。

さらに、おつりも忘れて、買えたと言う喜びと安堵感で駆け出すみいちゃん。
瞬間、瞬間で心が動いていく様が本当によく描かれていて、読んでいるこちらも思わず涙ぐんでしまうくらいです。
たった5才の子どもが、一生懸命、自分の心を保ち、認め、動かしながら生きている姿。
おつかいができたと言う喜びだけでなく、心の大冒険をしたみいちゃん。
そんな姿に子どもたちは共感するのでしょう。

ゆり組のお友達もきっと、毎日、心の冒険をしていることでしょうね。