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絵本読んで!

絵本:はじめてのおつかい

「はじめてのおつかい」
作:筒井 頼子
絵:林 明子
出版社:福音館書店

ゆり組のお友達と一緒に、ぎゅうにゅうくださあい!

筒井頼子さん林明子さんのコンビが贈るとても素敵な絵本です。
お二人の作品は他にもたくさんありますが、その中でも私はこの絵本が一番のお気に入りです。
筒井さんのとても自然で飾らない言葉。林さんの丁寧で主人公を大切にする作画。
子どもたちも作品の空気に触れて、日常の中で感じるドキドキしたりホッとしたりする気持ちを感じるのでしょう。

おかあさんにおつかいを頼まれたみいちゃん。5才です。
ゆり組のお友達も「自分たちと一緒」という気持ちで聞いていました。
ぎゅうにゅうを買いに出かけますが、その道中に起こる出来事に、子どもの心のうちを描きながらお話は進んでいきます。
この絵本がすばらしいと思うのは、主人公のみいちゃんの心を自然な言葉で表現しているところです。
ちょっぴり不安な気持ち、怖い気持ち、ドキドキする気持ち、あせる気持ち、ホッとして心が解ける気持ち。
様々な気持ちが、本当に自然に感じられる表現で書かれています。

「お金をしっかりとにぎりしめる」ことはやる気とドキドキの入り混じった気持ち。
ころんで落とした大事なお金を探すみいちゃんの心はどうだったでしょう。
ころんだ痛さで泣いてしまったら、自分のやる気と頑張りも失ってしまう。だから、必死に心で耐えながら落し物を探したのでしょう。

小さな声で言う「ぎゅうにゅうください」も、心の中のドキドキがあふれています。
やっとのことでぎゅうにゅうを買えた思いがこもったひとつぶのなみだ。
緊張感が解ける瞬間です。
気がつくと、手のなかで温かくなるほどお金をにぎりしめていたみいちゃんは、どれほどドキドキ緊張していたのでしょう。

さらに、おつりも忘れて、買えたと言う喜びと安堵感で駆け出すみいちゃん。
瞬間、瞬間で心が動いていく様が本当によく描かれていて、読んでいるこちらも思わず涙ぐんでしまうくらいです。
たった5才の子どもが、一生懸命、自分の心を保ち、認め、動かしながら生きている姿。
おつかいができたと言う喜びだけでなく、心の大冒険をしたみいちゃん。
そんな姿に子どもたちは共感するのでしょう。

ゆり組のお友達もきっと、毎日、心の冒険をしていることでしょうね。