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絵本読んで!

絵本:島ひきおに

20130801112923873_0001「島ひきおに」
作:山下 明生
絵:梶山 俊夫
出版社:偕成社

すずらん組のお友だちと一緒に、おーい、こっちゃきてあそんでいけ!
とても寂しがりやの鬼が人間と友達になりたくて旅をする昔話です。

作者の山下明生さんはたくさんの作品を手がけてらっしゃいます。私も知らなかったのですが、バーバパパのシリーズを翻訳されているのも山下さんです。
作画の梶山俊夫さんも同じく多くの絵本の絵を描かれています。島ひきおにの絵を見て分かるとおり、とてもダイナミックでありながら細かい表情や描写がすばらしく、昔話にとても合っています。

さて、むかしむかしのお話。
ひとりぼっちの寂しがりやの鬼が小さな島に住んでいました。
寂しくて寂しくて、人間たちと一緒に暮らしたいと願っていた鬼はある日、難破した船を助けます。
そして、船に乗っていた村人の村へ行くと言い出します。
村人は怖い鬼に村に入れるわけにはいかないと思い「この島をひっぱってきたら一緒に住めるだろうな」と無理難題を出します。
ところが、鬼は「皆と一緒に住めるなら」と島を動かし綱で縛って、村まで引っ張ってきます。
驚いたのは村人たち。なんとか鬼に諦めてもらおうとあの手この手で追い返します。
鬼は追い出されるたびに島をひき、次の村へ、また次の村へと海の中を歩いて旅をするはめになります。
一緒に暮らしたいだけの心優しい鬼が皆の誤解から嫌われて長い長い旅をする。そんなお話です。

さて、子どもたち。
題材が鬼のお話なので、怖がって後ろの席に隠れてしまう子もいましたが、お話が始まるとその世界にグッと入り込んでいきました。
思っていたような鬼の怖い話ではない、と言うのを感じ取ったのでしょうね。
お話を聞き漏らすまいと、とても集中していました。

いつまでも海の中を歩いて旅する鬼。しまいには島も失いみすぼらしい姿になってしまいます。
それでも「おーい、こっちゃきてあそんでいけ!」と人恋しさに暮れる姿に子どもたちも少し同情を感じているように思いました。
お話は結局、ハッピーエンドにはなりません。
悲しい、悲しい終わりとなるのですが、子どもたちもしんみりとお話を聞き終えていました。

子どもたちからは「鬼さんさみしかった」「おにさん今もあるいとん?」そんな感想が聞こえてきました。
絵本は子どもたちにとって楽しいお話や絵を見せるだけのものではありません。
絵本の世界に入り込み、登場人物の気持ち、思いを共有し感じることも大切なこと。
特に昔話には、お話の中に湧き出る心の活動を感じ取ることで物語をより深く情緒的に楽しめるものが多くあります。
鬼の気持ち、人間の気持ち、真に願う純粋な思いとはなんだろうか。
善い悪い、そんな簡単に決めるようなことではなく、子どもたち自身が感じて思うことを素直に受け止めてあげたい。
そんなことを感じながら子どもたちの心の成長を願うのです。

すずらん組の子どもたち、お話の世界に入り込んでいくきっかけになったかな?。

でもね、
「鬼さん遊びたかったんかな。鬼さん来たら遊んであげる?」と聞くと。
「いやや。怖い」
だって(^_^;